勝毎ビジネス -KACHIMAI BUSINESS-

北海道十勝の企業情報サイト「勝毎ビジネス」

勝毎ビジネスは地元経済の専門サイトとして、ローカルな企業情報を提供します。十勝には、商工業にかかわる1万6000余の事業所があります。その中には全国、世界へ飛躍する企業も存在し、基幹産業である農業の発展とともに注目されています。人口減少という地域課題を抱えているものの、豊かな自然に恵まれた大地を背景に、さらなる発展の可能性を秘めた十勝。U・I・Jターンを誘発し、地域がより豊かになることを目指し、積極的に情報を発信します。

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株式会社土谷特殊農機具製作所

 1933年、帯広で先代の清氏が個人商店として設立した。十勝における酪農の可能性を見極め、当時手搾りだった牛乳の輸送缶や搾乳バケツなどを主力商品として販売した。
 現在は道内に6支店・営業所・出張所を構える。創業当時の搾乳バケツを継続製作する一方、欧米4社と技術提携し、新たな商品で地域に技術を還元する。牛群管理や搾乳システムの他、家畜糞尿を利用したバイオガスプラントは、十勝管内を中心に33箇所設置。冬の冷熱を利用した農産物貯蔵庫「アイスシェルター」は、その技術を応用した屋内カーリング場や植物工場建設へと可能性を広げた。先見の明を持ち、今後も十勝の産業を支え続ける。

十勝の社長に聞くTop Interview
十勝の社長に聞く

Vol.1 幅広い事業展開

Vol.1 幅広い事業展開



 1933年(昭和8年)に「土谷商店帯広工場」という看板で創業した。当時は牛乳の輸送缶や搾乳用のバケツ、冷却管などを扱っていた。バケツは今も同じ製造方法だ。営業品目のベースは酪農器具や機械、施設。それが牛乳容器から機具・機材になり、給餌や搾乳システム、ふん尿の処理システムへと変化してきた。バイオガスもふん尿処理の一環だ。
 75年に米国デムース社と「合弁会社土谷デムース」を設立した。サイロ本体や機械、取り出し装置、吹き込み装置、アンローダーやデストリビューターの機械メンテナンスを今も行っている。サイロは800本建て、売り上げの8割以上は建設だった。今は売り上げの7割以上がバイオガスプラントで、同じく建設が中心だ。

バイオガス発電事業の状況
 本格的に取り組んだのは14, 15年前。96年にオーストリアで工場を訪問した。コンクリート製の液肥を溜めるタンクがあった。設計変更が大変なスチール製と違い、コンクリート製で大きさを変える融通が利く。現在、当社の商品は輸入した型枠を使ったコンクリート製だ。昨年は2億を投資し、原料層や発酵層、貯留層を整えて輸入の型枠で対応している。 
 海外メーカーと直接取引することで価格も抑えている。また、プランニングから国への手続き、メンテナンスなどの責任を持つ点が強みだ。補助事業の場合は競争入札になり、コンサルタントやプランニングも必要になってくる。大手ゼネコンが入ると経費もかかるが、当社は一括なのでかからない。
 今後の日本の酪農業は、「6次産業化」プラス「エネルギー」、「発電業」と考える。6次産業化することで2倍、3倍の価値を生み出す。

Vol.2 「アイスシェルター」への取り組み

Vol.2 「アイスシェルター…



 地域密着という点で、酪農ばかりでなく資源を有効に使おうと考えた。省エネ低温貯蔵庫「アイスシェルター」は、元北海道大学教授の堂腰純先生と一緒に始めた。
 「冷熱」という北海道の自然エネルギーを使う。冬の寒さで水を凍らせ、氷が解けるときの潜熱を用いて、一年中0度と湿度100パーセントを保つ。この技術を活用して農産物を貯蔵しようと考えた。
 (JICAのモンゴルにおける調査事業で、提案したアイスシェルターに関する事業が採択されたことを受け)モンゴルは冬にマイナス40度になるが、シェルター内では水がマイナス40度を0度まで暖房する役割を果たす。水は凍るときに潜熱を出し、0度を保つからだ。モンゴルは9月に農作物を収穫しても、10月から気温が氷点下になり、貯蔵施設がないと流通するのが困難だ。日本のシェルターもまだ13基しかなく、日本より寒いモンゴルは日本以上に需要の高まりが早くなると感じた。5年計画で進出し、3年目で1基建てたい。

メリットや可能性
 アイスシェルターは、氷室の中に水槽を入れて自然に凍らせるのでランニングコストがかからない。また食肉やワイン、チーズなど、自然エネルギーで短期・長期の貯蔵や熟成が可能だ。抑制にも使うことができる。例えば桜を春に剪定(せんてい)してシェルターに入れ、夏に出して常温に置くと満開になった。これをモデルに花屋もできる。

Vol.3 今後の事業戦略

Vol.3 今後の事業戦略



 今後は、農畜産業の専業化や規模拡大、ICT(情報通信技術)化が進む。しかしそうなると高齢者は出番がない。アイスシェルターの冷熱を活用し、屋内で効率的に農作物を栽培する「植物工場」に取り組んでいるが、量産目的ではなく、隣近所の高齢者が共同で作業する場として使ってほしい。1日4, 5時間、週に2, 3日でもいい。季節問わず同じ環境で作業ができる。

社是に込めた思い
 「シンク・グローバリー、アクト・ローカリー」(世界の技術を地域で実践)という社是がある。これはドイツのケルンで行われた環境展のタイトルを参考にした。これまで米国と合弁会社を作るなど海外を視野に入れた取り組みをしてきたので、まさにやってきたことだと。

求める人材
 60歳以上の従業員が25人以上いるので、60歳からの継続雇用ではなく、新年度から定年を65歳にしようと思っている。
 また、採用では製造業以外の全ての業務に取り組んでもらうことが条件だ。技術の評価は難しいが、機械や溶接などの資格を点数化し、最高月2万円の技術手当てを出している。目標を与え、自己や上長と合わせた(総合的な)評価をしていこうと考えている。

土谷 紀明(つちや・のりあき)

土谷 紀明(つちや・のりあき)1941年、帯広市生まれ。株式会社土谷特殊農機具製作所代表取締役。帯広小学校、帯広第一中学校、小樽千秋高校(現小樽工業高)機械科程卒。59年に株式会社土谷特殊農機具製作所に入社。85年から現職。アイスシェルター技術普及協会会長。北海道機械工業会理事。2005年に文部科学大臣表彰科学技術賞、2006年に黄綬褒章、12年に帯広市産業功労賞を受賞。

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企業情報Information
企業情報

法人名 株式会社土谷特殊農機具製作所
ツチヤトクシュノウキグセイサクショ
創業 1933年(昭和8年)
代表者 代表取締役 土谷 紀明
業種 搾乳システム、給飼システム、排せつ物処理システム、牛群管理システム、アイスシェルター、バイオガスプラント、その他、酪農機材と上記システムの設計、施工、メンテナンス
資本金 6000万円
従業員数 126人
所在地 〒080-2461
帯広市西21条北1丁目3番2号
TEL 0155-37-2161
FAX 0155-37-2751
WEB
年商 2016年3月期 46億1700万円
2015年3月期 36億3500万円
2014年3月期 25億7400万円
2013年3月期 23億3700万円
2012年3月期 16億6300万円
代表取締役 土谷 紀明
専務取締役 土谷 雅明
取締役 土谷 賢一
取締役 土谷 祐二
取締役 野口 哿宏
監査役 矢野 孝志

主な役職者名

土谷デムース株式会社
帯広市
株式会社アイスシェルター
帯広市
2Gステーション北海道
帯広市
札幌支店
札幌市東区東苗穂4条1丁目18番28号
帯広営業所
帯広市西21条北1丁目3番2号
釧根営業所
川上郡標茶町常磐3丁目15番地
中標津営業所
標津郡中標津町東6条南11丁目3番地3
北見営業所
北見市高栄東町1丁目11番37号
興部出張所
紋別郡興部町字興部本町473番地

支社・支店関連会社等

沿 革
1933年 帯広市大通10で創業
1948年 有限会社に改組
1964年 帯広市西21北1の現在地に移転
1970年 米国ステイライト社と技術援助契約
1975年 米国デムース社と合弁会社設立
1977年 オランダのポイーズ社(現ネダップ社)と独占販売契約
1980年 米国ユニバーサル社と極東代理店契約
2000年 (株)アイスシェルター設立
2003年 ドイツ2G社のバイオガス発電機の代理店
2004年 ドイツ プランET社とバイオガスプラントで技術援助契約
2005年 士幌町でバイオガスプラント運転開始
2011年 2G社バイオガスCHP北海道独占販売店契約
2013年 (株)2Gステーション北海道設立
2013年 バイオガス発電プラントで「新エネ大賞」新エネルギー財団会長賞を受賞

バイオガス発電プラント

家畜ふん尿を利用したバイオガス発電プラント
2013年度の新エネルギー財団主催「新エネ大賞」で新エネルギー財団会長賞を受賞

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