勝毎ビジネス -KACHIMAI BUSINESS-

北海道十勝の企業情報サイト「勝毎ビジネス」

勝毎ビジネスは地元経済の専門サイトとして、ローカルな企業情報を提供します。十勝には、商工業にかかわる1万6000余の事業所があります。その中には全国、世界へ飛躍する企業も存在し、基幹産業である農業の発展とともに注目されています。人口減少という地域課題を抱えているものの、豊かな自然に恵まれた大地を背景に、さらなる発展の可能性を秘めた十勝。U・I・Jターンを誘発し、地域がより豊かになることを目指し、積極的に情報を発信します。

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十勝中央観光タクシー(株)

 2016年2月、小林氏率いる十勝観光ハイヤーと、現会長の近藤茂樹氏がトップの中央タクシーが合併。十勝観光ハイヤーは小林社長の祖父、故・勇作氏が1965年に設立。12年訪問介護タクシー開始、13年、こばとで通所介護施設を開設(16年本社に事業移管)、17年、24時間見守り事業とシニアライフサポート事業開始。7月に企業主導型保育と障害児通所、カフェ併設の施設を市内中心部に開設予定。従業員数165人、車両83台。資本金3500万円。こばとハイヤー(芽室)を08年にグループ化、第二種旅行業を取得。グループ売上高は7億4773万円(17年度)。

十勝の社長に聞くTop Interview
十勝の社長に聞く

Vol1. 乗務員不足の対策

Vol1. 乗務員不足の対策



― 4月、日曜深夜の営業停止という十勝のタクシー業界では初めて24時間営業見直しの検討を発表した

 もともと日曜の夜は客が少なく、従業員の労働環境を高めたいと思った。家族で食事を取れるという環境をつくっていきたい。
 2年前に合併し、介護や観光など一層、多角化に取り組んでいる。「タクシー乗務員が駄目でも他の業務なら…」という人が予想以上に多く、1年目で20数人、昨年も25人以上を採用することができた。
 「働く女性を応援したい」と「子育てタクシー」をやっている当社としては、子育てしながら働いているお母さんも応援しようと奨学金制度を創設した。昨秋入社したママさんドライバーが1人、この制度を活用している。グループのこばとハイヤーでは、幼児や児童を持つ母親層を想定し、賃金を固定給とした「基本残業なし、土日も休み」という制度がある。子どもの成長後、しっかり働いてほしいということで、勤務も弾力的に工夫している。


Vol2. 業界の現状と展望

Vol2. 業界の現状と展望



― 十勝では今年、初乗り運賃の値上げ申請の動きが相次いだが、十勝中央観光タクシーが途中で申請を取り下げた

 タクシーの売り上げも「数量×単価」だ。数量(客数)が伸びない中、単価を上げさせてもらうというのが今回の値上げ申請の経緯だった。ただ、値上げ幅は思った以上でないことが分かった。従業員の給与を上げることもままならない、お客さまにも迷惑を掛ける。誰のためにもならないと(取り下げを)決断した。
 タクシーの実車率は1日30%とされる。1日の労働時間の半分以上が空車という状況は、料金が高いからだと思う。行き先が近い時、お客に「近くですみません」と謝らせてはいけない。もっともっと料金を下げ、近くてもどんどん乗ってもらえる乗り物にしたい。
 具体的には、高齢者割引きをやめ、来春をめどにフリーパスの定期券サービスを始めたい。高齢者割引は当社だけで年間1200万円分。それを原資に、生活保護受給者や子育て中のお母さんなど、本当に困っている人に振り向けたい。

― 現在のタクシー業界をどう見るか

 100年以上の歴史があるが、間違いなく、衰退期に来ている。帯広でも運賃総収入は毎年1、2%減が続く。今後、スマホ配車やAI(人工知能)、自動運転がタクシーでも当然普及するだろう。タクシーはなくなるのか、形を変えてイノベーションが起きるか、瀬戸際の時期だと思う。東京では初乗り運賃を短縮する動きもあり、他地域にも広がっている。一方、過疎地域では交通弱者が増え、相乗り事業が取り組まれている。

― 札幌などへのシャトル便や子育てタクシーなどもこうした対応の1つか

 大好きなドラッカー教授の言葉で「真のマーケティングは、われわれが何を売りたいかではなく、顧客が何を求めているかだ」がある。特に帯広―札幌、帯広―新千歳間の「こばとシャトル便」は、JRの不通時にお客さまが一番に求めていたのが道央への移動。タクシーの新しい乗り方を知ってもらいたいとも思った。

Vol3. 異分野への挑戦

Vol3. 異分野への挑戦



― 保育や飲食など異業種にも積極参入している

 基本はタクシー事業だが、困っている人の役に立ちたい。保育園は預ける先がない人向けに何かできないかと思ったから。乗務員不足解消にもつながればいい。現場を知りたいと、国の「子育て支援員」の研修を自ら昨年受講し、発達障害対応の重要性を改めて学び、運動療育を主体とした放課後デイも始めることにした。十勝ではまだ珍しいと思う。同じ施設に飲食(カフェ)も併設。将来的には、障害を持った人を雇用できる体制を進めたい。通所介護も始めたが、将来は介護施設の開設を目指す。
 ただ、失敗も多く、3年撤退ルールを設けている。運転代行業は十分、職種として認知されてきたので撤退予定。高齢者24時間見守りも自信があったが、見守られる側は監視されているようでかなわないと、全く浸透しなかった。生活のお困りごとサービスは好評で、今の時期だと草刈りや庭の剪定(せんてい)、除雪、水道修理など引き合いがある。
 ドライバー限定の有料職業紹介事業も力を入れたい。旅行業としてインバウンド(訪日外国人旅行者)の対応を強化。乗務員から英語の研修をやりたいとの声が出ており、取り組みたい。英語が話せるドライバーも採用したい。

― 小林家は親族で帯商会頭も輩出。社長はいつ意識したのか

 大卒後、日本罐詰に勤めていた。世間的には家業を継ぐと思われていたが、実は違った。タクシー業界は右肩下がりで、父は自分の代で会社を終わらせようと考え、札幌のタクシー会社の傘下に入っていた。だが、その親会社がバブルの不動産投資に失敗し倒産。うちも連鎖倒産の危機にあった中で、父は従業員の雇用を守りたいとの考えで株を取り返した。ただ、後継者を育てていなかったので、白羽の矢が立った。

― 現在、小樽商科大大学院で学んでいる。なぜ大学院か

 大学時代は全く勉強していなかった。経営に携わり、ドラッカー教授の著書を翻訳した上田惇生先生の講演を聴く機会があり、影響を受けた。MBA(経営学修士号)の取得を目指している。定期的に大学に通わなければならず、レポートに追われる毎日だ。
 「社長がいないと幹部が育ちます」と周囲に言われたが、実際にそうなった。管理職が自主的に会議を開いて、考えるようになった。みんなコミュニケーションを取ることができるようになり、管理職の成長につながっている。

― 息抜きは

 最近、料理に目覚めた。得意料理はローストキチン。驚いてくれる。すね肉から煮込むビーフシチューも得意。夜中ずっと煮込みすぎて肉が行方不明になったことも…。時間がなかなか取れないが、釣りやキャンプも好き。時々、家の近くの公園でテントを張り近所の人に白い目で見られた―なんてこともある。自然が好き。一週間休みがあったらキャンプに行きたい。

小林義幸(こばやし・よしゆき)

小林義幸(こばやし・よしゆき)1970年東京都生まれ。帯広明星小、帯広第三中、帯広北高、東洋大経営学部商学科卒。94年に日本罐詰(芽室)入り。2005年、十勝観光ハイヤー入社。乗務員も半年経験し、12年から社長、同時にグループのこばとハイヤー社長にも就任。16年から現職。十勝地区ハイヤー協会常任理事、帯広観光コンベンション協会理事など。美奈夫人(46)との間に高3の長男と小学4年の長女。

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企業情報Information
企業情報

法人名 十勝中央観光タクシー(株)
トカチチュウオウカンコウタクシー
創業 1965年(昭和40年)10月
代表者 代表取締役社長 小林義幸
業種 ハイヤー・タクシー業
資本金 2500万円
従業員数 150人
所在地 〒080-2469
帯広市西19条南1丁目7-30
TEL 0155-33-8515
FAX 0155-33-8516
WEB
車輌台数 83台(この他にこばとハイヤー29台)
年商 2017年3月期 7億4773万2598円
2016年3月期 7億3686万8413円
2015年3月期 5億1388万4263円
2014年3月期 4億7180万1775円
2013年3月期 4億2871万846円
代表取締役会長 近藤 茂樹
代表取締役社長 小林 義幸
専務取締役 近藤 和浩
取締役 近藤 美幸
監査役 小林 和子

主な役職者名

有限会社こばとハイヤー
北海道河西郡芽室町東1条5丁目14番地

支社・支店関連会社等

沿 革
1965年 十勝観光ハイヤー株式会社設立
2000年 GPS自動配車システム導入
2001年 運賃利用回数割引(ポイントカード)認可サービス開始
2008年 有限会社こばとハイヤーをグループ化
2010年 高齢者割引認可サービス開始
2010年 自動車運転代行業(一般代行業)開始
2012年 訪問介護事業(介護タクシー)開始
2016年 通所介護(デイサービス)事業をこばとハイヤーより移管
2016年 中央タクシー株式会社を合併、十勝中央観光タクシー株式会社に社名変更

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