勝毎ビジネス -KACHIMAI BUSINESS-

北海道十勝の企業情報サイト「勝毎ビジネス」

勝毎ビジネスは地元経済の専門サイトとして、ローカルな企業情報を提供します。十勝には、商工業にかかわる1万6000余の事業所があります。その中には全国、世界へ飛躍する企業も存在し、基幹産業である農業の発展とともに注目されています。人口減少という地域課題を抱えているものの、豊かな自然に恵まれた大地を背景に、さらなる発展の可能性を秘めた十勝。U・I・Jターンを誘発し、地域がより豊かになることを目指し、積極的に情報を発信します。

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株式会社山本忠信商店

 1953年、大阪・岸和田から十勝へ移住した創業者の故山本忠信氏が雑穀店を開業した。89年からは小麦政府売渡受託業務を始め、2011年には製粉工場を音更町内に整備して小麦製粉事業を開始。十勝産100%の小麦粉を商品化するなど、地産地消の体制を整えた。
 農業に寄り添い、作り手と食べる側の想いをつなげる活動に力を注ぐ。契約生産者と連携した生産物の品質向上の他、近年は「十勝小麦・小麦粉連合」を立ち上げ、地元の小麦や関連産業を盛り上げる取り組みを行っている。シンガポールを拠点とする北海道物産の輸出事業も展開。十勝農業の可能性を探りながら飛躍する。

十勝の社長に聞くTop Interview
十勝の社長に聞く

Vol.1 製粉新工場稼動から5年の手ごたえ

Vol.1 製粉新工場稼動から…



 非常に順調だ。2011年に新工場を建てた。当初は半年で人さまに買ってもらえるような小麦粉ができると思っていたが、ほぼ1年かかった。初めはお金にならない小麦粉を挽き続けてほとんど餌にしたが、その頃「ユメチカラ」というパン用の小麦粉が出た。製パン業界を中心に注目を浴び、急激に北海道産小麦の需要が高まった。現在は予定よりやや前倒しで損益分岐点を越え、順調に推移している。

道内農業界での役割
 北海道の農産物はボリュームがある。ひとつも腐らせずに流通させるのは、民間では不可能。基本的にはJA系統が流通を担うのが本筋だ。ただ十勝は、一流の素材が素材のまま外に出ていく。かつてはそれで食べていけたが、加工したり地元で循環することで、雇用や付加価値がうまれる。民間企業はそこを埋める役割を担っており、共存共栄できる手ごたえを感じている。
 生産者や我々も、今までは「ミニJA」のような流通アプローチをしていた。できた収穫物をJAに出して終わり。しかしそれでは生き残れないため、農作物の評価を生産者が分かる仕組みを今作っている。例えば、小麦が小麦粉になって何になるか。パンになってどんな評価を受けているか。「顔の見える農産物」は、消費者側から議論することが多いが、生産者も消費者の顔が見たい。よい評価ばかりではないが、それも含めモチベーションにつながる。ここにヤマチュウとしての生き様を持っていきたい。

Vol.2 生産者との関わりについて

Vol.2 生産者との関わりに…



 ヤマチュウの契約生産者団体で作る「チホク会」は小麦、「ビーンズ倶楽部」は豆の栽培技術の向上を目指している。入会しているのは、地域で収量が高かったり、よい品質の農作物を生産している人が多い。お互いの畑に入る活動をしていて、技術の向上に寄与している。もうひとつは、消費者や実需者と接すること。農産物は、食べる人のためにつくるものだが、大規模になるとその意識がなくなる。だから親子が畑でパンやうどんを作る(イベント)のように、近くで農業に触れてもらう。誰のために作る農作物かわかるような契約栽培をすると、生産者と実需者との交流が生まれる。

十勝イタリアーノマンジャーレなど地産地消の思い
 十勝の地域はすべて素材で出している。しかし、(観光客から見ると)ジャガイモをどこで食べることができるかわからず、結局豚丼になる。だからメニュー提案が必要。小麦は日本全体の4分の1以上を作っているが、十勝と小麦はイメージとして全くつながっていない。札幌や函館、旭川などのラーメンはあるが、帯広や十勝ラーメンはない。十勝としてメニュー提案ができていないという思いが強かった。十勝産食材を使ったイタリアンのフルコースを楽しむイベント「十勝イタリアーノマンジャーレ」は、レストランや加工する人を一度に応援する方法を考えたのが始まりだった。切り口を考える中、まずは十勝食材で「十勝イタリアン」ができるのではないかと。5回開催したが大変好評だ。

TPPにおける農業成長戦略は
 中長期的に見るとTPPがどうあれ、十勝や日本の農業が国際化の波に飲み込まれるのは間違いない。生き残る方法を考えなくてはいけない。TPPは、どのように守るかという議論ばかりだが、守りに入るとむしろ厳しい状況になるので逆に打って出る。
 一流の素材と一流の加工技術をセットにすると勝負できるという戦略を、2011年に立てた。13年にはシンガポールに会社を出し、順調に推移している。北海道は強いと実感している。

Vol.3 人材育成の考え

Vol.3 人材育成の考え



 企業理念のひとつに「ヤマチュウは人でできている」がある。「ヤマチュウ」は社員の固まりで、企業が成長することは、人が成長するということだ。社屋がなくなっても人がいれば、同じ「ヤマチュウ」を再生できる。
 その上で人材育成については、社長としてはしっかりと予算を組むことが重要だ。経費は維持費と未来費があり、教育は未来費の最たるもので、節約してはいけない。経費節減は維持費ですべきだ。
 具体的な取り組みのひとつに、昨年から始まった社内の勉強会「ヤマチュウ大学」がある。1年間に4講あり、3~4年で卒業。財務や経営方針などを学ぶ。講師はひとつを除いて社員が務めている。また、新入社員対象のアカデミー委員会もある。委員長は課長や部長で、例えば釣りや登山などに行く中で色々な会話をする。委員会でイベントを開くことも。社会に出て働くということは、社会でつながりを持つということ。若い人はそこが下手だが、入り口だけでも援助してあげる取り組みだ。他、社外の勉強会にもよく参加している。会社の規模からすると相当教育に費用をかけている。

リーダーの役割とは
 方向を指し示して道筋を言わないこと。魚か肉か、何を食べるかを決めるのはリーダーだが、食べ方まで言ってはいけない。現場の裁量がないと、現場は面白くなくなる。
 ボトムアップの経営方針を立てて2年目だが、各部署に任せるとしっかり考えるものだ。リーダーは、額に汗して体を動かす仕事はそうない。むしろ現場の仕事に忙殺されるとリーダーの仕事はできない。方向性は指し示した上で、現場に任せる度量が必要だ。

山本英明(やまもと・ひであき)

山本英明(やまもと・ひであき)1959年、音更町生まれ。株式会社山本忠信商店代表取締役。帯広柏葉高校、明治大学工学部卒。東海澱粉(静岡県)を経て、山本忠信商店には87年に入社。2005年から現職。北海道農産物集荷協同組合副理事長、豆の国十勝協同組合副理事長、音更町十勝川温泉観光協会副会長、音更町商工会副会長などを務める。上富農産代表取締役、PS北海道代表取締役。2014年に日刊工業新聞社優秀経営者顕彰「地域社会貢献者賞」を受賞。

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企業情報Information
企業情報

法人名 株式会社山本忠信商店
ヤマモトタダノブショウテン
創業 1953年(昭和28年)
代表者 代表取締役 山本英明
業種 豆類・小麦の集荷精選・卸販売、農産物の契約栽培・栽培指導、肥料の直輸入・直接販売、小麦粉の製造販売、飼料販売
資本金 2000万円
従業員数 75人
所在地 〒080-0302
音更町木野西通7丁目3番地
TEL 0155-31-1168
FAX 0155-31-5901
WEB
MAIL info@yamachu-tokachi.co.jp
年商 2016年6月期 43億3000万円
2015年6月期 39億2000万円
2014年6月期 40億3000万円
2013年6月期 35億5000万円
2012年6月期 34億3000万円
札幌営業所
札幌市中央区北4条西4丁目1 ニュー札幌ビル8階/TEL:011-252-7511
株式会社上富農産
株式会社プライムストリーム北海道
PRIME STREAM Asia PTE.LTD.

支社・支店関連会社等

沿 革
1960年 豆類の取扱を目的として設立
1989年 小麦政府売渡受託業務開始
1990年 小麦生産者による「チホク会」設立
1990年 豆類契約栽培開始 (特別栽培)
1995年 韓国肥料直輸入開始
1998年 農業生産法人(有)ファーム十勝設立
2001年 豆類選別工場 (西工場) 新築
2007年 米穀取扱開始
2008年 地域交流会「ヤマチュウ祭り」開催
2009年 豆生産者による「ビーンズ倶楽部」設立
2011年 製粉工場「十勝☆夢mill」竣工 製粉事業開始
2013年 札幌に営業所を開設
2013年 (株)上富農産をグループ会社化
2013年 シンガポールの現地法人「PRIME STREAM Asia PTE.LTD.」設立
2013年 地域商社「(株)プライムストリーム北海道」設立
2014年 事業協同組合「チホク会」が小麦調製貯蔵施設サイロ建設

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