十勝の金融経済概況
日本銀行帯広事務所(加藤健吾所長)は12日、十勝の金融経済概況を発表した。2、3月の管内主要金融経済指標に基づく十勝の景気の全体感を「着実に持ち直している」とし、判断を引き上げた。基調判断の引き上げは昨年7月以来9カ月ぶり。
公共投資に下げ止まりの傾向がみられた他、個人消費が引き続き底堅く推移していることなどを反映した。
公共工事請負金額の3月は、前年比45・8%増。2015年度補正予算の発注増などが影響した。設備投資も非住居用着工床面積が2月に同8・4倍に達した。
新設住宅着工戸数の2月は同26%増。持ち家が同62・2%増と大きく伸びた。17年4月予定の消費増税を意識した動きとみられる。
観光面では、帯広空港乗降客数が2月に同6・5%増。中国からのチャーター便効果で伸びた。市内ホテル宿泊人数は同10・4%増、主要温泉地宿泊人数も同12・7%増と伸長した。
主要小売店売上高の2月は同1・4%増と食料品を中心に堅調だった。乗用車新車登録台数は3月、同15・2%減だった。
軽自動車が同24・2%減と引き続き軽自動車税増税前の駆け込み需要に伴う反動減となった他、普通車も一部メーカーで工場操業停止による生産遅れが発生したこともあって、同9・3%減だった。
金融関係では、日銀がマイナス金利付き量的・質的金融緩和を2月16日に導入したが、貸出金約定平均金利は大きな変動がなかった。実質預金残高は2月が同0・6%増、貸出金は同1・6%減だった。
基調判断は13年10月に「着実に持ち直している」と引き上げられた後、公共事業の減少など背景に14年11月、15年4月の2回引き下げられ、同7月に「基調としては、着実に持ち直している」に引き上げられていた。(長田純一)