3年半ぶり下方修正 十勝経済
財務事務所 台風被害が影響
帯広財務事務所(原井英一所長)は11月28日、とかち経済情報を発表した。今年9月期(7~9月)の管内経済について「台風被害等の影響により、一部に弱い動きが見られる」とし、13年1~3月以来、14期ぶりに総括判断を引き下げた。
項目別では、8項目のうち「企業倒産」と「観光」の判断を前回より引き下げ、残り6項目は据え置いた。
企業倒産は7件18億1200万円で、前年同期(3件1億3400万円)を大幅に上回った。原井所長は「台風被害関連の案件もあり、今後も留意する必要がある」とした。
観光は帯広空港利用が前年同期比2・1%減の8万6699人で、7期ぶりに前年を下回った。十勝川温泉の宿泊客などは同13%減(8万8021人)で2期連続の前年割れ、市内ホテル宿泊数も同2・5%減と5期ぶりに前年を下回った。「台風によるキャンセルで客足が戻らない状況が続いた」と原井所長。
生乳生産は、前年同期比で平均2・0%増とプラスで推移したが、9月は同0・4%増にとどまった。「今年は長雨や台風の影響で飼料の出来が悪いとされ、生乳量にも影響が出そう」とする。
公共事業も累計は前年度を大幅に上回っているが、予算執行が前倒しされたことによるもの。住宅着工は持家と貸家、分譲住宅ともに前年同期を下回った。
個人消費は、衣料が「節約意識が強く、台風被害も重なり来店客数が減少した」ことで、同7・4%減。新車登録は軽自動車などが上向き、同6・5%増と10期ぶりに前年実績を超えた。こういった状況を踏まえ、前回判断と同じとした。
今後の見通しについて、原井所長は「(管内JAの)農業生産高をどのくらい保持できるかが一つの指標になる。JRなど交通網が回復することで観光などの復調に期待したい」としている。(佐藤いづみ)