十勝の景気動向調査(3月期)
帯広信用金庫(増田正二理事長)が12月16日発表した地域企業景気動向調査レポートによると、2016年3月期(16年1~3月)の管内企業の業況判断の見通しDIはマイナス36と、東日本大震災直後の11年6月期以来の低水準となった。売上額DIマイナス48、収益DIマイナス44は、同調査で比較可能な01年6月期以降で最も低い。公共事業の縮減傾向を背景に、管内企業に年明け以降の景気への不安感が高まっている。
業況判断DIは、景気が良いと考える企業の割合から悪いと考える企業の割合を引いた値。
業種別では建設・不動産業が、見通しDIマイナス50と2008年12月期のマイナス53以来の低水準に落ち込んだ。管内公共事業発注に対して慎重な見方が広がっている。
売上額DI(マイナス56)、収益DI(マイナス54)とも、01年6月期以来最悪となっている。人手不足を示す人手DIは5年ぶりにプラス3となり、仕事がない中で人手の過剰感も出てきている。
関連業種も製造業がマイナス40、運輸業もマイナス44と見通しDIが悪化している。卸売業も建築材料卸を中心に見通しが悪化し、業界全体でもマイナス42。
管内公共事業発注額は今年に入って大幅に縮減され、前年同期比で3月期がマイナス32・1%、6月期がマイナス40・9%、9月期がマイナス32・6%に落ち込んでいる。特に土木工事発注は前年の6割程度と厳しい状況が続いている。12月には市内の老舗土木工事業者が倒産した。
他業種では小売業が見通しマイナス27、サービス業もマイナス27とそれぞれ悪化している。
15年12月期(15年10~12月)の実績DIは前期比2ポイント増のマイナス15。観光関連業の好調でサービス業がプラス4と同4ポイント増加したほか、建設・不動産業が北海道新幹線関連需要の取り込みでマイナス6(同9ポイント増)と改善した。
帯広信金地域経済振興部は「公共事業の縮減に加え、管内、道内では賃上げの動きも鈍く、消費マインドの萎縮が感じられる」と指摘している。
(長田純一)