十勝の倒産件数と負債総額
東京商工リサーチ帯広支店がまとめた2015年の十勝管内企業倒産(負債総額1000万円以上、内整理含む)は29日時点で22件、29億7500万円となっている。金額は前年比8億7900万円減だったものの、件数は5件増えた。2011年から続いた倒産件数の減少傾向から増勢に転じた。
負債総額が10億円を超える大型倒産はなく、同1億円以下の小口倒産が全体の半数を占める。公共工事の縮減の直撃を受けた土木工事業など建設関連の倒産が目立った。
今年最も負債総額が大きかったのは12月に自己破産した老舗土木工事業の新妻組(帯広)。関連会社の不動産管理業サンエート(同)と合わせた負債総額は9億2879万円だった。
業種別では建設業が6件と最多で、卸・小売5件、運輸・通信、サービスがそれぞれ3件。倒産形態は自己破産が21件、民事再生が1件で、事業継続を断念する清算型がほとんどを占めた。
過去10年の管内倒産件数は07年の46件が最多。09年に金融円滑化法が施行され、13年に同法が期限切れになった後も、金融機関の返済条件緩和などの融資先支援もあって、倒産は抑制傾向だった。
件数が5年ぶりに増加に転じたことについて、矢野英樹支店長は「土木工事はこの1年大型案件がなく、小規模な土木専業事業者を直撃した」と分析する。16年度の公共事業予算も今年度並みが見込まれていて、来年以降も同様の傾向が続くとみている。
帝国データバンク帯広支店のまとめでは、30日現在で管内倒産(負債総額1000万円以上、法的整理のみ)は23件(前年比6件増)、負債総額は36億2679万円(同1億8379万円増)。件数、負債とも前年を上回った。
長瀬崇支店長も建設業が公共事業減、人手不足による人件費上昇などで苦境にあると指摘し、「公共工事依存度が高い企業は厳しい。管外に積極的に打って出ることも選択肢となってくるのでは」としている。
(長田純一)